地学見学案内書「富士山」 内容紹介 |
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以下に,編著者の言葉,および,前関東支部長加藤碵一氏の巻頭言を抜粋して示します.また,本案内書の目次を掲載します. この富士山の地学的見学案内書は,主として教師用〜地質関係者用に作成しました.どなたかを,例えば,児童,生徒,学生,海外の方々を案内する際に,参考書としてご利用いただければ幸いです.地球科学は,自然保護や防災の土台をなす重要な学問分野です.各分野の皆々様に,その点を実感していただくためには,様々な角度からの普及書を学会が揃える必要があると考えています.本書が,その一助になれば幸いです. (上杉 陽) 編著者の上杉 陽先生は,多くの共同研究者や関係者の方々と,長年にわたって,情熱を持って,富士山の探求に当たられた一方の泰斗であられます.本書は,その成果・精華の一端であり,一読されればおわかりのように,精細,かつ,きわめて具体的な記述は,他の追従を許さないものがあります.本書の構成は,大きく2つに分けられます.第1部ともいうべき部分は,「富士山一般教養」と名づけられおり,富士山の学術的・社会的位置付け,研究史,内部構造,周辺山地を含めた発達史,防災上の提言などが示されています.第2部にあたるのが,本書の主部をなす21の見学地点の記載です.豊富な図表,写真を駆使した明快な,また興味深い説明は,ぜひ現地で実見したい念を起こさずにはいられません.特に露頭写真は単なる風景写真ではなく,説明を加筆上書きしたもので,巡検に際して第1級の資料となっております.また,研究面・教育面でまことに得がたい好個の普及書ともなっております.この巡検案内書が広く活用され,より多くの方々の富士山に対する関心と理解を深める一助となることを願ってやみません. (加藤碵一) |
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案内書の目次 |
はじめに | 加藤碵一 | ||
富士山一般教養 | 上杉 陽 | ||
1. | 富士山は高さがダントツ,面積・体積は最大級,位置が特異 | 1 | |
2. | 特別名勝「富士山」:日本を象徴する霊峰 | 3 | |
(1) | 「ふじやま」の原義は火を吹く山? | 3 | |
(2) | 「ふじやま」は女神の御神体 | 3 | |
3. | 富士山の生い立ち−実は,まだまだ,よくわかっていない− | 4 | |
(1) | 富士山研究史 | 4 | |
(2) | 富士山の内部構造−実はさらによくわからない− | 8 | |
(3) | 富士山及び周辺山地発達史概観 | 11 | |
4. | 見学地点について | 21 | |
見学地点 | |||
地点1 | 360°展望出来る紅葉台 −富士火山,小御岳火山,丹沢山地,御坂山地,天子山地− | 23 | |
地点2 | 子供も連れていける足和田村村営「西湖蝙蝠穴」 −青木ヶ原丸尾溶岩流類中の溶岩空洞と微地形− | 28 | |
地点3 | 鳴沢村農協集荷場裏 −青木ヶ原丸尾溶岩類東端部の不思議な断面形態− | 30 | |
地点4 | 古代の側火山長尾山〜氷穴噴火口列 −氷穴溶岩上の天神峠スコリア層− | 32 | |
地点5 | 富士北麓公園南西「福沢橋北西詰」 −剣丸尾第二溶岩と直下のスコリア群・広義の火砕流− | 38 | |
地点6 | 吉田胎内神社内の各種溶岩空洞の諸形態と壁面微細構造 −溶岩トンネルそれとも溶岩樹型?− | 43 | |
地点7 | 吉田胎内神社東側崖下の広義の火砕流とテフラ群 −良くわからない「広義の火砕流」− | 45 | |
地点8 | スバルライン五合目小御岳神社東側馬小屋脇 −剣丸尾第2溶岩牛が窪スパターと下位のテフラ群− | 48 | |
地点9 | 霧の沢剣丸尾第2溶岩と直下のテフラ群(S-24〜S-11) −重要な北側テフラ模式露頭− | 52 | |
地点10 | スバルライン剣丸尾管理棟駐車場下富士林道 −剣丸尾第1溶岩とこれを覆う第2溶岩− | 57 | |
地点11 | 吉田大沢下流域の新しい岩屑なだれ堆積物 −大石茶屋岩なだれ堆積物− | 59 | |
地点12 | 滝沢林道1560m地点 −概略2800年前以降のテフラ群(北東側模式露頭)− | 63 | |
地点13 | 西小富士噴火割れ目噴出物 −古文書記録がない12世紀以降の噴出物の宝庫?− | 68 | |
地点14 | 富士吉田市鐘山 −桧丸尾第2溶岩直下のテフラ群と火砕サージ堆積物など− | 73 | |
地点15 | 山中湖村平野,スポーツ公園脇造成地の崖 −姶良丹沢火山灰ATと古富士系テフラ群− | 77 | |
地点16 | 南アルプスまで見える三国峠パノラマ台 −古代古文書記録に登場しない山中湖− | 79 | |
地点17 | 明神林道の新富士テフラ〜古富士最上部テフラ −消滅する貴重な模式露頭群− | 82 | |
地点18 | 須走スギナ沢古富士最末期〜新富士最初期テフラ群 −ほとんど消滅しつつある重要露頭− | 86 | |
地点19 | 須走口登山道新五合目下物資小屋脇の新富士最新期テフラ群 −S-24-2期以降のテフラ群東方模式露頭− | 91 | |
地点20 | 「太郎坊」の新富士テフラ群 −南東方向のテフラ模式露頭− | 95 | |
地点21 | 消滅しつつある駿河小山町飛地上柴怒田大露頭 −姶良丹沢火山灰ATと古富士テフラ群− | 106 | |
おわりに | 110 | ||
文献 | 111 | ||
記載者一覧 | 116 | ||
富士山一周パノラマ写真 | 巻末 |
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